まず最初に,
国連アジア太平洋本部の広島市誘致についてでございます。
私は,平成19年の
統一地方選挙で初当選させていただいて以来,広島市と国連における連携強化の必要性を一貫として訴えさせていただいております。
特に,中四国地方で唯一広島市に存在します国連機関,
国連訓練調査研究所──いわゆる
ユニタールでございますけれども──その
広島事務所との連携強化,そして,
国連アジア太平洋本部の広島市誘致というテーマについて,我が
広島市議会においては,平成20年第2回6月定例会,平成22年度
予算特別委員会,平成23年第3回6月定例会,平成25年度
予算特別委員会において取り上げさせていただいております。
そして先般,私は,会派の同志5名とともに,長らく抱き続けてきましたビジョンを実現すべく,
国連欧州本部が設置されておりますスイス・
ジュネーブ市を初めて訪問させていただきました。
そこでは,国連の平和,核不拡散,核廃絶に関する積極的な議論を行う場所としての広島市の位置づけ,そして,世界初の被爆地並びに世界一の
復興都市広島市,ヒロシマに,この国連の
アジア太平洋本部の誘致,あるいはそれらを議論する
国際委員会の設置に関する意見交換等を行ってまいりました。
欧州本部では,
ジュネーブ軍縮会議の
サレバ軍縮部長,
国連軍縮研究所ユニディールの
テレサ・ヒッチェンス所長,
国連訓練調査研究所──
ユニタールの
サリー・フェーガン本部長兼
国連事務次長補,同じく国連,これは
ユニタールの前広島所長でもいらっしゃいましたアレックス・メヒヤ氏との協議の場を設けさせていただきました。
そして,その協議における共通認識としては,世界平和に向けた圧倒的な
メッセージ力を有するヒロシマは,この半世紀の間に,被爆後の荒野から奇跡的な復興と発展をなし遂げてきた
国際的認知度の高い都市であるということ,また,国際社会が直面する多様な問題の中でも,各地域における紛争後の復興と再生は重要課題であり,戦後
復興イコール再生のシンボルとも言えるヒロシマ・シティーの持つ
メッセージ力は,世界的に大きく,国連機関として,その連携を強化することは非常に大きな意義があるとの見解を示されました。いわば,国連にとっても広島市との連携にニーズはあるといった趣旨として我々は受けとめさせていただきました。
と同時に,しかしながらも,国連としても大変に財政状況が厳しいという,どこかでいつも聞かされている話題になったわけですけれども,そうした現実的な課題を冷静に共有しながらも,
国連アジア太平洋本部誘致という
ビッグプロジェクトを見据える必要性,そして,短期的あるいは中期的に国連機関,例えば,国連の軍縮会議や
軍縮研究所の
リエゾンオフィスの広島市
誘致可能性の模索,そして,そこには,広島市としても,人件費等の経費負担がどこまで可能なのか等々,互いに検討していけるのではないかとの助言を受けてまいりました。
政治とは限られた予算の使い道を決めるプロセスです。ですから,その使い道の決定権を有する広島市長の判断が大きな鍵を握ることになります。
これまで述べましたように,国連のニーズ,そして,
国際平和都市広島市としてのアイデンティティーからすれば,その理念や意義を疑う余地はないはずです。
また,現在の社会情勢や広島市を取り巻く状況などを鑑みたとき,これらの解決に向けて最も合理的で有効な手段と考えられるのが交流人口の創出施策の展開です。平成27年から広島市の人口も減少していくとされている中で,もはや定住人口の大幅な増加を見込むことは大変難しくなってきております。地域活力が低下しつつある時代背景の中で希求される政策は,広島市を訪れる人,いわゆる交流人口を創出していくことだと私は考えます。
我が広島市が,より多くの人々に選択される都市として,ますます激化していく
都市間競争に打ち勝っていくためには,国連機関,
国際機関等を積極的に誘致し,国内外からのその交流人口を創出し,地域の活性化を図るとともに,広島市の魅力を実感する機会を増大させることで,やがて定住人口の増加につなげることこそが,行政の,政治家の至上命題ではないでしょうか。
そして,その至上命題に全力で取り組んでいる都市の一つが,お隣の国,韓国の仁川市です。仁川市が
グリーン気候基金の誘致を契機に,ソンド地区をベルギーのブリュッセルやスイスの
ジュネーブのような国際機関が集まる都市に育成することを推進しており,仁川市が昨年から進めてきた
世界銀行韓国事務所の誘致を初め,
グリーン気候基金の誘致成功以降,拍車がかけられてきております。
仁川市はこうして,市長の強いリーダーシップにより,
北東アジア中心都市を目標に定め,これまで,
国連機関等の誘致に積極的に取り組んでまいりました。これまでにも,2006年には,国連傘下の主要機関の一つ,
アジア太平洋経済社会委員会の
アジア太平洋情報通信技術訓練センターを誘致,2009年8月には
国連防災研修院と
国連防災戦略北東アジア事務所が開設され,さらに,中国・北京との誘致競争に競り勝って,2010年5月には
アジア太平洋経済社会委員会北東アジア事務所をオープンしております。これら国連4機関のほか,東アジア・
オーストラリア地域フライウェイ・
パートナーシップ事務局,
国連寄託図書館も今日までオープンされてきております。
一方,我が国では,平成12年に沖縄県にて,
国連アジア本部,または
アジア平和センターの創設を国連に働きかけ,沖縄に誘致すべきという考えが提唱され始めました。翌平成13年3月には,沖縄県議会で
国連アジア本部沖縄県誘致に関する要請決議が採択され,以降,同種の決議が沖縄県の
市町村レベルにおいて採択されております。しかし,その後の検討状況では,主に,厳しい財政状況という理由で,その機運は高まりを失っているのが実情であります。
しかし,私は,このままでは,未来永劫続くであろう厳しい財政状況をただ看過するのではなく,高い理念に基づいた指針を示し,10年先,20年先を見据えた未来志向で,発展的な取り組みへの一歩を,今だからこそ踏み出すべきだと確信いたしております。
先ほど御紹介した仁川市も,財政的には非常に厳しい状況にあると聞いております。我が国のさまざまな自治体においても同様の状況下であることは想像に難しくはありませんが,
国連機関等の誘致活動が積極化していることは事実です。
その根底にあるものは,それらが投資の誘引なり,国際会議などによる経済発展,
雇用創出効果,そして,都市としての発信力強化を期待しているものであることは明白であり,持続可能な都市経営を果たそうとする真剣な姿勢に違いありません。
広島市においても,松井市長になって,経済局を
経済観光局とし,観光政策部の中には
MICE戦略担当課を設け,同様の目的を掲げておられます。私は,その
MICE戦略における究極の目的こそが
国連アジア太平洋本部並びに国連機関の誘致にほかならないと確信するものでございます。
松井市政となり,これまで提言させていただいてきた国連機関との連携について,私としては前向きな御答弁をいただいてきたと認識させていただいております。
ここで,新たに,
国連アジア太平洋本部,そして,さきの視察において議論の俎上に上がってまいりました
国連軍縮会議,
軍縮研究所の
リエゾンオフィス誘致について並びに今後組織改編され,その名称をUN Knowledgeとし,その役割がさらに大きくなる
国連訓練調査研究所──
ユニタールとの連携強化に向けた具体的なアクションについて,松井市長のお考えをお聞かせください。
また,過去これまで幾度と答弁を頂戴してきたわけでございますけれども,それ以降,これまで取り組んでこられた実績・成果についてもお聞かせいただきたいと思います。
来年4月には,核兵器を持たない10カ国からなる国際会議,軍縮・不
拡散イニシアチブ──NPDI──の外相会合が広島市で開催され,核軍縮・不拡散に関する創造的な政策が提案されます。
くしくも,時の
日本国外務大臣は,我が広島市選出の
岸田文雄衆議院議員です。この絶好の機会を逸することなく,外務省との強い連携を実現し,我が広島市が,ニューヨーク,
ジュネーブ,ウィーンに次ぐ第4の国連都市となるべく発信とアプローチを行っていただき,アジアにおける
国際中枢都市として,台頭する意欲を示していただきたいと願うものでございます。
次に,広島市における統合医療の推進と玄米給食の導入について質問させていただきたいと思います。
昨年2月の定例会におきまして,
市政改革ネットワークの
土井哲男議員が統合医療に関する提言をされました。
統合医療とは,これまで,臨床現場で実践されてきた
近代西洋医学に加えて,病気の原因に心身全体からアプローチする伝統医学や代替医療を患者一人一人に最も適切な形で組み合わせていくという考え方です。
がんや慢性疾患,鬱病,不妊症といった病がふえ続ける現代社会にあって,毎日を心豊かに過ごすため,治療と予防医療の両面から健康を目指す方法に国際的な注目が高まっております。
昨年,定例会での土井議員の提言に深く共感し,家族やみずからの健康を考える際の新しい選択肢を与えていただきましたことに感謝いたします。私も,それ以来,
統合医療推進活動を行う各種団体へのアプローチや,その他文献・資料を参考に調査を進めてまいりました。
病気の超早期発見や予防,根治,健康維持の増進などを目指し,広島市においても,今後,市民へ積極的に情報提供すべきと考え,今定例会において取り上げさせていただくことにいたしました。
代替医療と呼ばれるものには,漢方,食事療法,呼吸法,心理療法などさまざまな種類があります。現在の日本では,通常の西洋医学による医療は健康保険で賄われておりますが,代替医療の大部分は保険適用外です。すなわち,この二つを組み合わせる統合医療は健康保険上の混合診療に当たり,
全額利用者負担となってしまいます。社会全体としてはまだまだ認知度は低く,その効果について正しい理解も十分に得られていないと思います。
病気になったら病院へ行き,薬を飲みなさいと昔から教え込まれてきた我々にとって,ある意味で病気との
イタチごっことなっている現状があり,全ての人間が本来兼ね備えている治癒力を最大限発揮できるような向き合い方は,これまで決して一般的ではありませんでした。
医療先進国のアメリカでは,既に
国立衛生研究所に
国立相補代替医療センターが設立され,110億円を超える研究予算を使ってさまざまな相補・代替医療──これはCAMと言いますけれども──について科学的な研究を行っておりますし,
ハーバード大学医学校でも,この相補・代替医療と統合医療についての研究所が設立されており,海外の
大学医学校と幅広い共同研究が進んでいるといいます。
一方,我が国の統合医療の厚生労働省の予算としては10億円程度であり,その大部分は漢方の研究に対するものです。
一般社団法人日本統合医療学会のデータによりますと,現実に緩和医療を受けておられるがん患者の6割以上が,この相補・代替医療の利用者であるという事実に,この制度の立ちおくれは看過できるものではないと感じます。
このように,事実として多くの患者が相補・代替医療を利用しており,また,こうした医療の普及啓発などに積極的に取り組んでいる団体もある。行政として,このような団体による取り組みについて,実態を把握されているのでしょうか。仮に,実態を把握してないとしたら,把握する必要があると考えますが,いかがでしょうか。
また,当然ながら,
近代西洋医学を否定する議論ではなく,その効果を高めるためにも,こうした代替医療をプラスするという視点を,選択肢のない多くの人々に伝えていただきたいと願うものです。
人間の体は小宇宙とも言われるように,まさに神秘です。健康の捉え方は多種多様であって当然ですから,私はここで統合医療は絶対善だと言うつもりも全くございません。どの説を支持し,実行するかは個人の自由です。ただ,一方で,選択肢が多いほうがよいというのは間違いなく,行政として,市民に情報提供していくことが必要と考えますが,市当局の御所見をお伺いいたします。
また,先ほど御紹介しました数ある代替医療の中でも,食事療法は特に身体への直接的な作用が大きく,重要なテーマであると考えます。治癒力の活性化を図るには,まず,治癒を邪魔しているものについて認識する必要があります。日々の食事こそ命の
基本エネルギーであり,現代人の乱れがちな食生活や栄養の摂取方法に対する誤認識を改めることにより,劇的な体質改善を見せることがあると言われております。
食事療法にもさまざまありまして,現在,特に注目されているのは,日本発祥のマクロビオティックと呼ばれる理論です。
食事は玄米菜食が基本で,その土地の季節に合った食べ物をとることが勧められます。さらに,魚など,命あるものは丸ごと全体を食するという考え方が重んじられ,食べ物に宿った自然界の生命力をそのまま食べた人間の生命力に再生させていただくというふうに,食べるということをダイナミックな観点から捉えた新しい健康法として世界中で急速に広まっております。実際にがん患者が抗がん剤治療によらず,食事療法だけでがんを消したという事例も報告されているようです。
特に,主食となる玄米は,人間に必要な栄養成分の全てを絶妙なバランスで含んだ食材です。事実,玄米は白米の5倍もの栄養価がありまして,ふだん,私たちが口にしている白米は,栄養が詰まっている部分を全て精米で取り除いてしまった残りということになります。
これほど栄養価の高い玄米を,成長期の子供たちが当たり前に口にするようになってほしいと願うものです。そして,聞くところによると,オリンピックに出場する
アスリート選手は,小さなころから親に玄米食で育てられた人が多いということです。
広島市におかれましては,学校給食に玄米御飯を取り入れる取り組みを,ぜひとも,広島県
学校給食会と連携して積極的に進めていただきたいと存じます。既に,岡山市や神戸市など,全国7
政令指定都市において,学校給食に玄米御飯が導入されております。
食べにくい穀物という印象の玄米ですが,正しい手順を踏めば,実は非常においしくふっくらと炊き上がります。私も実際に食しましたが,かめばかむほどうまみの出るすばらしい御飯でした。ほんとおいしかったです。
炊飯設備の整備や配送システム等,実際の導入までに課題は複数ありますが,次世代を担う子供たちの健やかな成長,そして,彼ら,彼女らが子育てをするようになったときに,食への正しい理解が受け継がれていくことはこの社会の財産であると言えます。
未来への投資という価値観で,優先順位を上げて検討すべきと考えますが,教育長の御所見をお伺いいたします。
以上で,私の一般質問を終了させていただきます。
余計なことをいろいろ言おうと思いましたけれども,この辺でやめて,終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○種清和夫 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 豊島議員の御質問にお答えします。
国連アジア太平洋本部の広島市誘致についての御質問がございました。
現在,本市には,国連機関として
国連訓練調査研究所──
ユニタールの
広島事務所が設置されておりますけれども,議員御提案のとおり,国連の
アジア太平洋本部が広島に置かれることになれば,国際的なネットワークの拡大につながり,それに伴い,平和の発信力が高まるほか,本市の交流人口の増大が期待されるなど非常に意義が大きいと考えております。
また,軍縮会議等についても,広島からの平和の推進に深くかかわるような何らかの国連機関が広島に置かれることになれば,同様に意義深いものであるというふうに考えております。
ただ,一方で,国連機関の誘致に当たっては,関連施設の設置・運営等に関して多額の地元経費負担があるという課題があります。こうしたこともあわせて検討していかなければならないというふうに考えております。
いずれにしても,今後とも,国連の新たな海外拠点や事務所の設置の動向について情報収集に努め,引き続き,国連機関の誘致に向けた取り組みについて検討していきたいというふうに考えております。
その他の御質問につきましては,関係局長から答弁いたします。
○種清和夫 議長 市民局長。
◎及川享 市民局長 まず,
ユニタールとの連携強化に向けた具体的なアクションについての考えに関する御質問にお答えいたします。
ユニタール広島事務所は,広島県のみならず,中四国地方で唯一設置されている国連機関であり,本市にとって重要な存在であると認識しております。
ユニタール広島事務所は,アジア・太平洋を中心とした各国の外交官や行政官を対象とする研修プログラムを実施され,各国の経済発展や社会発展に必要な人材育成に大きく貢献されています。
本市は,こうした研修プログラムの中で,本市の平和推進施策や国際交流・協力施策と関連するプログラムに対して助成しており,今後とも,ヒロシマの思いを各国の外交官等を通じて世界に広めていただけるよう,これまで同様の支援を続けていきたいというふうに考えております。
このほか,各種プログラム参加者の平和記念資料館視察や被爆体験証言講話のアレンジ,広島県の高校生に,在日の国連機関や大使館等で仕事を学ぶ機会を提供する青少年大使プログラムの応募者の募集などで連携を図っております。
また,今年度からは,
ユニタール広島事務所とNPO法人が共同で実施しています被爆樹木の種や苗を世界各地に送る事業について,平和市長会議と連携した取り組みを進めていきたいと考えており,今後も,
ユニタール広島事務所のニーズをお聞きしながら連携強化を図っていきたいというふうに考えております。
次に,
国連アジア太平洋本部等の誘致及び
ユニタールとの連携強化に係るこれまでの取り組みの実績についての御質問にお答えします。
新たな国連機関の広島への誘致に関しましては,昨年,国連日本政府代表部及び国連軍縮局に,国連の新たな拠点または事務所の日本への設置の動きについて情報収集をいたしました。その時点ではそのような動きはありませんでしたが,今後,引き続き情報収集に努めてまいります。
ユニタールとの連携強化に関しましては,昨年,
ジュネーブの
ユニタール本部長及び
ユニタール広島事務所長という,
ユニタールの代表の方と市長が個別に会談し,
ユニタール広島事務所の組織の強化や国連内でのヒロシマのPR,新しい研修プログラムのアイデアなどについて意見交換を行い,今後も連携を深めていくことを確認しております。
このように,
ユニタール広島事務所のみならず,
ユニタール本部,その他国連組織との意見交換や情報収集などに努めてきております。
以上でございます。
○種清和夫 議長
健康福祉局長。
◎糸山隆
健康福祉局長 統合医療と玄米給食の推進につきまして,2点お答えをいたします。
まず,相補・代替医療の普及啓発などに積極的に取り組んでいる団体について,実態を把握する必要があるのではないかという点についてです。
相補・代替医療は,身体への物理的刺激を行うものや,精神と身体の相互作用に着目したものなどがあり,これらの療法について,例えば,全国鍼灸学会や日本音楽療法学会などの全国レベルの団体が相補・代替医療を推進する団体として存在していることは承知をしています。
そのほか,本市においても,肺がんを発症した後にみずからNPO法人を設立し,がんの治療で悩み苦しんでいる患者やその家族に対し,食事療法や温熱手当てなどの自助療法を実践する場を開設している方もおられますが,こうした活動について全てを把握している状況ではありません。
相補・代替医療については,現在,十分な情報・知識がないことから,今後,全国レベルの団体や本市内の団体の活動・療法などについて情報収集を行い,理解を深めていきたいと考えています。
次に,統合医療について,行政として市民に情報提供していくことが必要ではないかとのお尋ねについてです。
統合医療については,国において,適切な医療の推進の観点から,今後のあり方等を検討するため,平成24年3月に統合医療のあり方に関する検討会が設置され,本年2月の第5回検討会でこれまでの議論の整理が行われました。
それによりますと,
近代西洋医学と相補・代替医療を組み合わせることによって,より大きな効果をもたらし得る新しい医療の概念として統合医療の考え方が注目されてきた,今後の取り組みとして,統合医療の各種療法について,安全性・有効性等に関する科学的知見を収集するとともに,これらをもとにして必要な情報を広く発信していくことによって,患者,国民及び医師が療法を適切に選択できるようにすることが重要であるとされています。
本市の市民への情報提供については,こうした国の動向を踏まえ,適切に対応していきたいと考えております。
以上でございます。
○種清和夫 議長 教育長。
◎尾形完治 教育長 学校給食に玄米御飯を取り入れてはどうかとの御質問にお答えを申し上げます。
玄米は,白米に比べて,鉄分,ビタミン,食物繊維などの栄養価が高く,また,かみごたえがあることから,よくかんで食べる習慣が身につきやすいという利点があり,既に導入している他都市では,食感や味についても子供や保護者から好評を得ていると聞いております。
一方で,玄米御飯の導入に当たっては,価格などの課題があることは議員御指摘のとおりでございます。
したがいまして,今後,広島県
学校給食会や炊飯業者との協議を行い,学校長,栄養教諭,給食調理員,PTAの代表者等で構成しております広島市学校給食献立作成委員会の御意見もいただきながら,玄米御飯の導入について研究をしていきたいと考えております。
以上でございます。
○種清和夫 議長 18番
豊島岩白議員。
◆18番(
豊島岩白議員) 今回の質問は,自分でも書きながら,
国連アジア太平洋本部の誘致と言いながら,また,玄米御飯までと,自分の中でそのギャップにちょっと苦しんだ内容ではありましたけれども,まさに,シンクグローバル,アクトローカルで,バランスのとれた,自分の中では納得のいってる質問でございます。
国連アジア太平洋本部の誘致であるとか,
国連軍縮会議や
軍縮研究所の
リエゾンオフィスの誘致の部分,ほんとに,御答弁としては精いっぱいのところ,していただいたというふうに受けとめさせていただいております。ほんとに,そういった部分では,非常に今後のビジョンを共有させていただいたんじゃないのかなということはほんと感じました。勇気をもらっております。
ほんと,このぐらいは検討されていくということではございますけれども,私も平成20年から申し上げさせていただいておりますし,その誘致といっても,そう簡単でないこともわかってます。国連のほうも当然に予算がない,厳しい,そして,広島市としても予算が厳しい。その財政負担,経費負担というもの,これは軽視できるものではございませんけれども,これから,大事なことというのはやっぱりビジョンなんだろうというふうに思います。ビジョンを明確にやっぱり発信をして,それを一人でも多くの市民の皆様と共有することによって,それは結局,そのビジョンさえわかっとけば,何が投資なのか,何が無駄遣いなのかということは,もうおのずと判断して御理解は得ていただけることだというふうに思います。
方向性としては間違いないということでありながらも,例えば,この広島市に国連機関があるということを広島市民の方がどれだけ知ってるんだろうかということ,私も,都度,いろんな機会を設けてその話をさせていただきますけれども,ほとんどの方が御存じないんですね。やっぱり商工会議所ビルの屋上に国連旗がたなびいてるんだということを広島市民の大半の方が御存じない。このことは,やっぱり広島市にとってじゃあどうなんだろうかと。
確かに,
ユニタールについては,広島県が主にその経費負担をされてます。県の,これは事業という前に,県の支援スタイルだと思う。でも,それを,国連の存在というものを,我々広島市が活用しない手はないと思います。そりゃ,市民益向上のためにも必要な経費負担,これは,我々議会人としても,当然に,個人的かもしれませんけれども全力で応援させていただきたいと思いますし,これからも,より多くの広島市民が,我がまちに国連機関があるんだということ,そして,広島市がこれからもっともっとグローバル化する社会の中において,国際的発信力を高めていくためにも,国連という機関を,コンテンツをいかに活用し,そして,広島市民にその益として還元していくんだというビジョンをぜひとも示していただきたいなということ,これは要望としてお伝えさせていただきたいというふうに思います。
統合医療の件,これも,できる限りの御答弁,100点満点の御答弁をいただいたというふうに思います。これも,きょう,あしたどうこういう問題ではないにしろ,まずは,現状の情報をやっぱり収集していただいて,これから,市民に発信すべくその情報の取捨選択というものをこれから検討していただき,世の中が全くそっちに向いてないんであれば,そりゃ当然,広島市としても行政としても限界はあるんですけれども,その相補・代替医療というものを,6割ぐらいの方々が,市民の皆さん,がん患者さんなりが活用されてるという,こういった一つのデータというものがありますから,そこについてもぜひとも関心を示していただいて,その情報共有をぜひ実現していただきたいなということを改めてお願いを申し上げたいと思います。
でまた,玄米給食についてですね,これは,玄米といえば,玄米菜食というのはよく昔から言われておりましたけれども,その玄米の導入ということについて,否定的に捉えることは,考え方はないんだろうなというふうに感じます。
今,広島市の中においては,その玄米に取り組むという前には,まず,五穀米であるとか,そういったものを月に一回程度導入されたりとか,当然,食育については全力で取り組んでいらっしゃるということは十分認識させていただいた上での今回の質問なんですけれども。
千葉県の野栄町というところが,そちらで,今,全国に先立って導入されて取り組んでらっしゃると。そちらのほうで,いろいろ学校の校長先生だったり生徒のほうにアンケートとってるんですけれども,生徒のアンケートで,よく顕著にこれあらわれてきてるというのが,よく眠れて目覚めがよくなったと,むかつくことが少なくなった。──我々議員も食べなきゃいけませんね。理事者の皆さんにも食べていただいて。──授業に集中力が増し,成績が向上してきた,運動部活動で中央の大会に出場する部がふえてきた。こういったような,ほんと生徒の,純真な生徒のアンケートの結果としてこういったことが出てきてるということ。これは,ほんと,ある意味で科学的にどうとかいう問題の前に,実感として現場のそれは声なんだと思います。
この先進的な町でさえ,この玄米給食の導入には2年半ぐらいかかってるんですね。そりゃ当然に,さまざまなかかわる皆さんとの協議,コンセンサス,得ていかなきゃいけないということなんで,私も,今年度中にどうかとかいうことはございませんけれども,ぜひ,例えば,全校で難しいんであれば,モデル的な地域,学校を選定していただいて,ぜひともそういったところから,まず小さなところから取り組んでいただき,行く行くは,そういった広島市の特色ある学校現場における給食のあり方というものを見詰め直していただくきっかけになればというふうに思います。
答弁は求めませんけれども,ほんと,今回,三つの項目,質問させていただいたということは,これからの広島市の5年後,10年後,20年後を見据えた提言だというふうに自分では捉えております。
ぜひとも,今後のビジョンというものを共有させていただくべく,市長,対話をぜひともよろしくお願い申し上げて,終わらせていただきます。
○種清和夫 議長 次に,50番山本誠議員。
〔50番山本誠議員登壇〕(拍手)
◆50番(山本誠議員) 皆さん,おはようございます。
私は,これまで,荒木市長,平岡市長,秋葉市長の市政運営を議員として間近に見てまいりました。
松井市長は,広島の市長として初めて国の官僚経験者であります。市長就任2年という折り返しの年でもあります。したがって,その評価はさまざま聞かせていただいております。
市長が掲げる世界に誇れるまちづくり──それも平仮名のまちづくりになってますが,そして,出向くのではなくして,迎える平和として,広島に来てもらうということをおっしゃっております。
そこで,政治家になられた松井市長として質問をさせていただきます。
まずは,平和行政についてお尋ねいたします。
NPT再検討会議の第2回の準備委員会で,70カ国以上が加わった核兵器の人道的影響に関する共同声明に日本政府が署名を拒んだこと,インドとの原子力協定の交渉再開に私は驚きました。広島の悲劇,福島の教訓も生かされておりません。これには,
長崎市の田上市長も広島の松井市長も足並みをそろえて抗議されております。
5月12日と6月8日の
長崎新聞によれば,
長崎市は今回の平和宣言起草委員会が2回開催され,その原案では,憲法改正に危機感を示しつつ,現行憲法の堅持を盛り込む意見や,核廃絶に向けた政府の態度を批判する内容も盛り込むことが議論されたと聞いております。
広島市の平和宣言は,松井市長によって形を変え,今まで,被爆の実相を伝えるということで,被爆者の証言を盛り込むことに力を注いでこられました。それを否定するものではありません。
この2年,被爆都市の市長として,国に,あるいは世界に踏み込んだアピールが弱いように思われます。
そこで,ことしの平和宣言では,政治家松井市長として,そして,ヒロシマの市長として,どのようなアピールをする予定なのかお伺いいたします。
世界は,ヒロシマの市長が何を発信されるかと注目していることは間違いありません。
次に,迎える平和についてであります。
市長みずから海外に出るのを控えて,広島を訪問してもらって,実相を知ってもらおう,そのことを積極的に行っていきたいというメッセージをされております。迎えることは結構だというふうに思います。
そういう意味で,海外から来られた方々の評価はどういう状況でしょうか。また,市長は海外へ出向かれたのは何回で,その成果はどうなんでしょうか,お尋ねいたします。
次に,アストラムラインの延伸についてであります──世界から地方に移りますが。
公共交通の充実と強化は早急に推進していかなければならない問題であります。広島市が平成11年に策定した新たな公共交通体系づくりの基本計画では,JR西広島駅までの延伸を第1期事業化区間として位置づけております。JR西広島駅は,広島にとってはまさに西の玄関であり,市民の日常生活のための交通機関であるアストラムラインは早く西広島駅へ延伸すべきだと考えますが,いかがお考えでしょうか。
また,広島市が先日策定した活力創造都市“ひろしま西風新都”推進計画2013では,アストラムラインの延伸について,利便性とコスト節約の両立の観点からルートや駅の位置などの見直しを実施しており,できるだけ早い時期に延伸事業の基本方針を決定すると記載されております。
地形や地勢など,アストラムラインを構築していく上で困難な課題もあろうかとは思いますが,現在の検討状況はいかがでしょうか。どこまで,どう進んでおるんでしょうか。また,できるだけ早い時期というのは,市長さん,いつのことをおっしゃっているんでしょうか,明快な答弁をいただきたい。
次に,花と緑にあふれる美しいまちづくりの実現についてお尋ねいたします。
広島の市の木はクスノキ,市の花はキョウチクトウです。市の中心部においてもたくさんの樹木があります。
原爆の日の8月には,白や桃色の花を咲かせるキョウチクトウが川沿いから公園に咲き乱れております。市は,ロゴマークを作成したり,四季の花プランターの設置,地域における花と緑のまちづくりの活動の促進で,花壇をふやそうとしていらっしゃいますが,しかし,今までも花壇は企業の協賛を初め,地域の公衆衛生やらNPOの活動で行ってきてはおります。問題は,日常の管理が大変な労力を必要とするわけです。花や緑を枯らさない,そういうことにも力を注ぐべきではありませんか。種や資材を補助しても,水やりを初め日々の手入れを怠っては何もきれいなまちにはなりません。
そういう意味で,花壇を維持するためのバックアップ体制が必要と考えますが,いかがお考えでしょうか。
例えば,この先般5月に,地域住民と行政が力を合わせて水やりの体制づくりに成功しました。これは,本当に市の職員が献身的な努力というよりも,知識を働かせたんではなくして,自分の持てる知恵をみんなが出し合って成功したというふうに私は見ております。
そういう意味で,各区もやっていらっしゃると思いますが,見習う点があるんではなかろうか。そこには,これまでの基準というものにこだわるんでなくして,やはり地域の実態に合った,今の社会情勢に合った,そういうことに決断をする,そういうことが非常に顕著にあらわれた事業だというふうに思います。
次に,広島博物館構想についてお伺いいたします。
私は,この広島を国際平和文化都市の名にふさわしい,文化の薫りがする都市にしたいと思い,これまでも,ミュージカルとかいろいろ国際交流とかを手がけてまいりました。
そういう中で,広島市には美術館がありますが,博物館と称した建物はありません。博物館もどきといえば郷土資料館があるのみです。
日本に20の
政令指定都市がありますが,その中で,札幌,仙台,新潟,千葉,川崎,横浜,静岡,浜松,名古屋,京都,大阪,神戸,堺市,ちょっと飛んで,北九州市,福岡市,熊本市の16都市が博物館と称した建物と機能が既にあります。
本市の博物館構想については凍結されておると聞いております。本市には,博物館建設のために収集された資料が約19万7000点,その他の埋蔵文化財などの資料が1万8000点保管されておると聞いております。しかしながら,市民に十分に公開されていない状況にあるのではないでしょうか。
時代は変化して,ICTの技術が進歩すると,驚いたことに,インターネット上にひろしまWEB博物館というのがあらわれてきます。僕もびっくりしました。それは,当然,仮想の博物館ができていたわけですが,まず,全ての時代を網羅したものではありませんが,市内から出土した重要有形文化財としての資料が画面から観賞することができるのです。それはそれで評価しますが,本物を実際に目で見ることができるということが,次の世代を担う子供たちにとって大切ではないかというふうに思います。
そこで,当局のお考えをお聞かせください。
次に,発達障害児・者,家族支援についてお伺いいたします。
発達障害児・者については,最近,少し周囲の理解が感じられるようになってまいりました。その支援体制は,これからも強化していく必要があります。発達障害児・者の抱える障害はさまざまな分類があり,また,症状も多彩であります。特に,24時間,家族が世話をしている場合は,家族も疲労こんぱいで,緊張の連続で,精神的にも肉体的にも限界が出てきているのが現状です。
先般,市民の方から,昼間は何とか家族で対応できるが,夜間に本人のこだわりが強く出て,その対応に困るという相談を受けました。子供が熱を出したり,急病の場合は病院の夜間救急窓口があります。このような発達障害児・者の場合は夜間窓口はありません。刺激が少なく,本人を落ちつかせ,クールダウンできる自宅以外の場所でそういう場所があれば,本人を初め家族も安心できるのではないかと考えますが,本市の対策についてお聞かせください。
次に,通学区域の見直しについてであります。
人口の動態変化や社会の変化の中で,今まさに広島市が力を入れようとしている団地問題がその典型だと思います。私の住んでいる己斐地区も例外ではありません。
通学区域における問題についてお聞かせいただきますが,己斐地区の世帯数は,平成12年のときが1万1228世帯,平成22年度の統計では1万1823世帯で,約600世帯増加しています。しかし,児童数は,昭和60年のピーク時と平成22年の子供の数を比較いたしますと,己斐小学校で,ピーク時が1,015人から,現在,584人,己斐東小学校が476人から168人,己斐上小学校が1,370人から402人と大幅に減少しています。
このような状況の中,全く変化がないのは通学区域の線引きでございます。例えば,己斐上三丁目地域には,通学区域は,己斐上小学校,中学校は己斐上中学校となっております。しかしながら,町内の中に己斐中学校が存在しております。中学校の前に家があっても,己斐上中学校に通学しなければならないというような状況が出ております。あるいは防災訓練等で己斐中学校に避難をする地域の人が,己斐上中学校の学区指定の場合は己斐中学校に行かれなくて,門の前で待っておって,そして,関係する責任者の方がおいでて初めて学校の中に入れるというような矛盾が出ております。
こういう実態について,早急に,教育長,対応していただくように強く求めたいと思いますし,御回答をいただきたい。
次に,地区集会所の設置補助基準についてでございます。
これも,中学校区と同じように一つの基準がありまして,幾ら近くに地域の集会所をつくろう思っても,基準に合わないからだめと。しかしながら,地域というのは高齢化が進んで,高齢化も,昭和60年のときに,高齢化率が己斐は8.2%です。それが,平成24年,現在では25%ですね,3倍になっておるわけです。そういう意味では,高齢者が多いということであります。そうすると,ひとり暮らしの高齢者も当然多くなるわけでありますが,これまでの皆さんの地域では,家をつくれば縁側というのがありましたから,近所の皆さんがその縁側に立ち寄ってお茶を飲むとか情報交換をするとか,そういう状況が見られたわけですが,今の建物はシャットアウトで,玄関からでないと入れない。そこで,そうした地域に必要なコミュニケーションを図れる小さな集会所等が必要になっておるのが今日の社会現象の状態でございます。
そこで,これまで,300メートル離れておらなければ基準に合わないとか,そういうのでなしに,その地域がどういう状況にあって,何が今大切なのかということをしっかり把握して,行政判断をすべき時期に来ておるんではないかというふうに思います。
ぜひとも,そうした基準の見直しを柔軟に対応していただいて,高齢者の皆さんが,それぞれの地域の中で生きる喜びのある,そういう人生の送れる,そういう行政を推進していただくように強く強く求めて,質問を終わらせていただきます。
答弁の内容によりましては再質問の権利を留保したいと思いますので,よろしくお願いします。
ありがとうございました。(拍手)
○種清和夫 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 山本議員の御質問にお答えいたします。
市長の政治姿勢についての中で,平和宣言に関しての御質問がございました。
平和宣言は,広島市長が,被爆体験を持つ広島市民を代表して,被爆の実相や平和への思いを宣言の形に凝縮し,心を込めて訴えることで,世界中の人々,特に,世界各国の為政者にヒロシマの思いを共有してもらい,核兵器廃絶に向けて真剣に取り組んでいただくために行うものであるという基本認識のもとに行っているところであります。
このため,私は,これまでも,平和宣言を作成する際には,ヒロシマの原点である被爆体験をきちんと伝えることに主眼を置き,被爆者からお寄せいただいた被爆体験談を直接盛り込んでまいりました。
また,国内外の多くの人々にヒロシマの思いを共感してもらい,若い世代にも継承されるよう,易しく理解しやすい表現にするようにするとともに,日本政府等関係者の行動を促す上で,より効果的な表現になるようにといった点で工夫をしてきたところであります。
さらに,被爆体験に関する懇談会の御意見を踏まえ,必要に応じて,国内外の情勢にも言及しておりますけれども,先ほど述べたとおり,私としては,宣言全体を通じてヒロシマの思いが伝わるよう意を用いてしているところであります。
結果として,これまでの平和宣言には,市長の思いが伝わり感銘を受けた,被爆者の願いを語っていただいたといった評価をいただいているところでありまして,宣言で訴えたことはしっかり伝わっていると,夢があるのではないかと理解しております。
ことしの平和宣言も,核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を願う被爆者を初め,広島市民の思いが,今まで同様に広く国内外に伝わる,訴える力も強いものにしていきたいと考えております。
また,最近の核兵器の人道的影響に関する共同声明等,国内外の動きへの言及であるとか,その表現方法については,今後,被爆体験に関する懇談会の御意見を踏まえて検討していきたいというふうに考えております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○種清和夫 議長 市民局長。
◎及川享 市民局長 まず,迎える平和についての,海外から来られた方々の評価に関する御質問でございますが,平和行政の推進においては,まず,国内外から多くの人々に広島に来ていただき,被爆の実相に触れ,被爆者の体験や平和への思いを共有し,核兵器廃絶に向け努力していただくことが重要であると考え,迎える平和を提唱しております。
これまで,広島を訪れ,平和記念資料館の視察や,被爆体験証言を聴講した各国政府や国際機関の関係者等からは,このような悲劇は二度と繰り返されてはならない,これからも核兵器廃絶に取り組んでいきたい,あるいは,被爆者の話に心を動かされ,核兵器廃絶に取り組むモチベーションがより高まったなどの感想をいただいており,ヒロシマの思いがしっかりと伝わっていると理解しております。
また,市長表敬の際には,必ず平和市長会議の取り組みなどへの協力を要請しており,昨年12月に広島を訪問された駐日コソボ大使の働きかけによって,初めて,同国の都市の平和市長会議への加盟が実現したように,実際に平和市長会議の加盟都市の増加等につながっております。
次に,市長の海外出張に関する御質問でございますが,平成23年4月の市長就任以来,今まで,大邱,ボルゴグラード,ハノーバー,ホノルルの姉妹・友好都市との交流等を目的とする出張を4回,
ジュネーブやウィーン等への平和の推進を目的とする出張を3回の計7回の海外出張を行いました。
これらの海外出張で,姉妹・友好都市においては,市のトップ同士で深い信頼関係を築くことができたほか,今後とも,青少年,文化,平和,経済観光など多様な分野で交流を推進することを確認し合いました。
特に,ボルゴグラードへの訪問では,ロシアにおける都市連合組織の関係者に対し,平和市長会議加盟の呼びかけを要請したところ,その後,11都市に加盟していただくことができました。
ジュネーブやウィーン等においては,NPT再検討会議準備委員会でのスピーチや,国連及び各国政府関係者との個別の面会等を通じ,被爆の実相や核兵器の非人道性とその廃絶を願う被爆地の思いを理解してもらうとともに,平和市長会議の取り組みについて幅広い賛同を得るなど,意義のある活動をすることができました。
このように,市長の海外出張によって国際交流や平和の推進に成果が得られたと考えております。
以上でございます。
○種清和夫 議長
道路交通局長。
◎向井隆一
道路交通局長 アストラムラインの延伸についての御質問にお答えをいたします。
アストラムラインの延伸計画につきましては,西風新都の全体計画の改定や,市民・議会等からのさまざまな意見などを踏まえまして,現在,西広島駅までの延伸を中心といたしまして,五日市,商工センター方面への延伸も含めまして,利便性とコスト節約の両立の観点から検討を行っておるところでございます。
具体的には,西風新都や延伸ルート沿線の居住者などにとって利便性が高まる複数のルート案を設定し,それぞれのルートにつきまして,利用者数の算定や採算性の検討を行っております。
また,高架構造の柱を低く抑えるなど,可能な限り建設コストを節約するため,現在,全国各地で運行しております新交通システムよりも,急勾配を採用することについて検討を行っております。
特に,この急勾配を採用できるかどうかにつきましては,ルート選定や事業費などに大きな影響を及ぼすことから,見直しに当たっての重要なポイントであるというふうに考えております。このため,現在,国土交通省に相談するとともに,車両メーカーの意見も聞きながら,車両の登坂能力やブレーキの安全性の検証を行うなど,鋭意,技術的な検討を進めておるところでございます。
本市としましては,延伸事業の基本方針につきまして,できるだけ早い時期に決定したいというふうに考えております。しかしながら,全国で事例がない急勾配の採用につきましては,安全性の面などから慎重に検討を進めていく必要があります。
今後,この検討結果を踏まえた上で実現可能なルート案を選定し,比較検討を行うことにしており,基本方針の決定までには,もうしばらく時間がかかるというふうに考えております。
以上でございます。
○種清和夫 議長 市民局長。
◎及川享 市民局長 広島市博物館構想についての御質問にお答えいたします。
昭和57年度に策定しました博物館基本構想は,公共事業の見直しにより平成10年4月に凍結され,現時点での博物館整備計画の凍結解除の見通しは立っていない状況でございます。
しかしながら,広島市の歴史・文化等にかかわる資料を実際に目で見る機会をつくることは,議員御指摘のとおり大切なことと考えております。
このため,本市では拠点機能を持つ博物館は設置しておりませんが,郷土資料館や交通科学館など多様な機能で構成される博物館群において,さまざまな展示を行うとともに,区民文化センターや公民館等において,拠点機能を持つ博物館のために収集した資料等を使った展示会を開催するなど,資料の公開活用を図ることにより,次世代を担う子供たちを中心に,多くの方々に実際に本物を見ていただく機会を提供しております。
今後も,引き続きこれらの事業を展開する中で資料の有効活用を図ってまいります。
以上でございます。
○種清和夫 議長
こども未来局長。
◎藤田典子
こども未来局長 発達障害児・者,家族支援についての御質問にお答えします。
発達障害のある人の中には,コミュニケーションや対人関係の障害,こだわりなどの特性を持つ人もあり,それに伴うパニックの症状が夜間に出て,その対応に緊急性がある場合は,精神科救急情報センターにおける電話相談や,精神科救急医療施設における救急診療を,年間を通じ24時間体制で行っています。
また,どのようにすれば落ちつかせることができるのかなど,本人への適切なかかわり方について,家族がかかりつけ医などから助言・指導を受けておくことにより,こうした症状が出た場合の家族の精神的・身体的な負担を軽減することができると考えられます。
議員の御指摘につきましては,自宅以外の場所で落ちつく場合もある一方,こだわりの強さなどのために連れていくことが困難な場合や,医療的ケアのほうが優先される場合などさまざまな状況が考えられることから,現行事業の周知を図るとともに,本人や家族への支援としてどのような方法が有効であるのか,今後,研究していきたいと考えています。
以上でございます。
○種清和夫 議長 教育長。
◎尾形完治 教育長 通学区域の見直しについて,己斐上三丁目地区の通学区域を見直すことについてのお尋ねにお答えを申し上げます。
本市では,適正な学校規模,通学の安全性,地域コミュニティーへの影響などを考慮し,保護者,地域住民等の理解を得た上で通学区域を設定いたしております。
こうした考え方に基づき,己斐上三丁目地区の通学区域のあり方につきましては,己斐地区の児童生徒数が分離新設時に比べて大幅に減少している状況にあることなどを踏まえ,今後,保護者や地域住民,地域団体等の御意見を十分に聞きながら検討していきたいと考えております。
以上でございます。
○種清和夫 議長 市民局長。
◎及川享 市民局長 地元集会所の設置補助基準についての御質問にお答えします。
地元集会所の設置補助基準については,単に300メートルという距離のみで判断しているのではなく,鉄道や河川,幹線道路,その他尾根,谷,のり面などの地形によりコミュニティーが分断されているなど,その地域の地理的条件も考慮して判断することとしております。
したがいまして,具体的な地元集会所の設置要望がございましたら,職員が直接地域に赴き,その状況をしっかり把握した上で適切に対応していきたいと考えております。
学校経営改善委員会の取り組みについてお聞きします。
私は,教員が日々の授業以外に,多くの報告書,資料づくりに追われ,繁忙感が募る中,精神疾患等による長期病気休暇の実態を指摘してきました。健康管理体制の拡充や時間外勤務の縮減,報告資料提出の削減を行い,授業に専念できる環境づくりを提言してきました。教員が子供と向き合う時間が拡充されるよう求めてきました。
こうした経過を踏まえて,以下,質問します。
教育委員会としても,こうした状況を改善するため,2011年度,事務局において学校経営改善委員会を設置されました。先般,学校経営活性化に向けた取り組み計画を策定されたと聞いていますが,何を重点的に今後取り組むのかお伺いします。
次に,2学期制の充実についてです。
この制度は2007年度に導入されました。3学期制の中で固定的に捉えられていた教育活動を見直し,2学期制による長期的な学期,新たな学校生活のリズムをつくり,時間的なゆとりをつくり出して,学習指導,教育相談等ができると,当時,提案がありました。そのときに,学校行事の組みかえは問題ないか,通知表の回数は減るのか,子供と向き合う時間的なゆとりは生まれるのかなど多くの意見が出されました。
現在,一定の成果があるものの,十分にその特性が生かされていない,変わっていないとの声も聞きます。こうした制度導入後において,成果と課題はどのように捉えられ,今後,それを踏まえて,2学期制の更なる充実に向けてどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
以上で,一般質問を終わります。誠意ある御答弁をお願いします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○木山徳和 副議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 田尾議員からの御質問にお答えします。
国からの地方公務員の給与削減措置問題についての御質問がございました。
これまでも,記者会見や幹部会議におきまして何度か申し上げてきているところでありますけれども,国が地方公務員の給与削減を前提として地方交付税を削減したことは,地方の自主性・自立性の観点から容認できるものではないという判断は揺るいでおりません。
国に対しては,衆議院及び参議院の総務委員会での附帯決議の内容,すなわち,地方公務員の給与は各地方公共団体が地方公務員法の規定に基づき自ら決定すべきものであるということが遵守されるよう,全国市長会や広島県市長会などを通じて主張してきておりますし,これからも主張していかなければならないというふうに考えております。
一方で,給与減額を前提として地方交付税が減額されるという状況にある中で,市民サービスに影響を及ぼさないようにするためには,このようなことは今後繰り返してはならないんだけれども,今回は,職員に給与減額の協力をお願いせざるを得ないという判断に至ったところです。まさに苦渋の決断を行ったものであります。
来年度以降のことについては,本年4月22日に,全国市長会を初めとする地方六団体が総務大臣のところに赴いて,今回の給与減額措置が東日本大震災を受けた例外的・臨時的な措置であることを確認したところ,総務大臣から,今回の措置は,平成25年度に限って臨時異例にお願いしているものであるとの回答を引き出していることなどから,給与の減額措置は今年度限りというふうに理解しております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○木山徳和 副議長 市民局長。
◎及川享 市民局長 平和問題について,数点の御質問にお答えいたします。
まず,NPT再検討会議第2回準備委員会への出張の成果と今後の平和市長会議の活動についての御質問でございますが,4月20日から26日までの7日間,市長がスイス・
ジュネーブを訪問し,準備委員会NGOセッションでのスピーチや,各国政府関係者等との個別の面会を通じ,核兵器の廃絶に向けた取り組みを呼びかけるとともに,準備委員会議長に核兵器禁止条約の交渉開始等を求める市民の署名約26万筆を提出し,同条約の早期実現に向けた尽力を要請いたしました。
このたびの出張の成果といたしましては,各国に核兵器の非人道性への理解が着実に広がっていることと,多くの関係者から平和市長会議の活動に対する評価や期待の声があり,平和市長会議への理解が広がっている状況が確認できたことでございます。
次に,今後の平和市長会議の活動につきましては,核兵器の非人道性に焦点を当て,それを非合法化しようとする動きが加速する中,この流れがより確実なものとなるよう,平和市長会議の取り組みの充実を図る必要があると考えております。このため,核兵器廃絶の一層の機運醸成に向け,地域特性に応じた活動の活発化や,2020ビジョンの積極的な展開などを盛り込んだ具体的な行動計画を策定し,2020年までの核兵器廃絶に向けた取り組みを強化していきたいと考えております。
次に,核兵器の人道的影響に関する共同声明に賛同しなかった日本政府に対する対応と,NPT未加盟国であるインドとの原子力協定を結び,原子力発電を輸出する日本政府の動きに対する見解についての御質問ですが,まず,核兵器の人道的影響に関する共同声明については,日本政府が賛同しないことが明らかになった4月24日の時点で,直ちに,市長が出張先のスイス・
ジュネーブにおいて天野軍縮会議日本政府代表部特命全権大使に面会し,遺憾の意を伝えるとともに,今後とも,声明に賛同した国々との連携を継続するよう要請いたしました。
また,インドとの原子力協定交渉再開については,5月24日に内閣総理大臣と外務大臣に対して交渉再開の中止を要請いたしました。しかし,結果的に,交渉再開が合意されたことは,日本政府として,商戦を勝ち抜くという短期的な視点を重視し,人類全体の平和を長期的な視点に立って願う被爆地広島の願いを真剣に受けとめることなくなされて,大変残念な決定であると考えております。
こうした中で,本市としては,日本政府が本市の思いを受けとめることができる政府になることを強く望んでいるところであり,毎年夏に行う外務大臣への要望など,さまざまな機会を捉えて,引き続き本市の思いを伝えていきたいと考えております。
次に,2015年のNPT再検討会議はニューヨークに決定したが,今後,広島市として,2020年のNPT再検討会議の誘致にどのように取り組むかとの御質問でございますが,NPT再検討会議は,世界各国の為政者に核兵器廃絶と世界恒久平和を願う広島市民の思いを直接伝えるまたとない機会であることから,広島開催を目指してきたものであり,2015年の開催地はニューヨークに決定いたしましたが,引き続き,2020年のNPT再検討会議を含めた国際会議の誘致に向けた努力を続けていきたいと考えております。
当面は,来年4月に広島市で開催することが決定されましたNPDI──軍縮・不
拡散イニシアチブ──外相会合を成功裏に終えられるよう,外務省としっかり連携を図るとともに,国際会議の開催実績を積み重ねていきたいと考えております。そうすることが,2020年のNPT再検討会議の広島開催に向けた足がかりになると,そのように考えております。
以上でございます。
○木山徳和 副議長
健康福祉局長。
◎糸山隆
健康福祉局長 最初に,被爆者援護対策の拡充について,5点お答えをいたします。
まず,被爆者健康手帳の審査期間の件についてです。
被爆者健康手帳の平成25年3月分の平均審査期間は4.9カ月となり,6カ月以内にするという目標を達成できました。
被爆から約68年が経過し,被爆の事実を確認するための資料や証人探し等が難しくなり,時間を要する状況になっていますが,引き続き,平均審査期間の短縮に努力してまいります。
次に,原爆症認定制度の在り方に関する検討会の議論の状況と本市の対応についてです。
原爆症認定制度の在り方に関する検討会では,よりよい制度を目指し,司法判断と行政認定との乖離をどのように埋めていくのか,疾病と放射線影響の因果関係をどう考えるかなどについて議論が続けられていますが,結論を得るには,いましばらく時間がかかる状況にあります。
本市としては,高齢化して,病気に苦しむ被爆者の現状を鑑み,困っている被爆者をどのように救済するかという視点に立って検討が進められ,できるだけ早く結論を得て,必要な措置が講じられるべきであると考えており,検討会の席上でもそうした意見を述べております。
今後とも,できるだけ早く必要な措置が講じられるよう,適切に対応してまいります。
次に,いわゆる八者協要望の回答状況のお尋ねについてです。
広島,
長崎両県・市の知事及び市長並びに議長で構成する,いわゆる八者協は,毎年,国の省庁及び関係国会議員に対し被爆者援護対策に関する要望を行っていますが,この要望は,その場や後日文書で回答を求めているものではなく,国において,要望を踏まえて,次年度の予算編成や制度改正を行うよう要望しているものです。
要望の成果としては,平成25年度予算では,国の原爆被爆者対策費の増額や,在外被爆者保健医療助成額の引き上げが行われました。また,昨年度は,原爆症認定審査の迅速化が図られ,待機件数の減少という大きな成果もありました。
次に,認定被爆者の通院交通費支給を全ての被爆者に拡大してはどうかというお尋ねです。
認定被爆者通院交通費の支給は,昭和48年に,認定被爆者は,長期にわたって治療が必要であり,通院日数も多いということから,経済的負担を軽減する目的で創設されたものです。
被爆者に対する援護対策は,基本的に国の責任において実施されるべきものであると考えており,また,昭和48年以降,被爆者に対する手当等も充実が図られていることから,この制度の対象をさらに拡大するということは考えておりません。
それから,被爆二世に対する健康手帳の交付とがん検診の実施についてです。
被爆二世健康診断の結果を受診者みずからが保存・管理するための健康手帳としては,現在,広島県被爆二世団体連絡協議会が作成した被爆二世健康管理表があり,本市では,昨年,健康診断を実施する医療機関への配布に協力させていただいたところです。また,被爆二世健康診断の主たる健診機関である公益財団法人広島原爆障害対策協議会においても,健診結果を張りつけて保存・管理する被爆者二世健診成績報告書を配布しており,本市としては,これらを活用していただきたいと考えています。
がん検診の実施については,広島,
長崎両県・市等による八者協において被爆二世健康診断内容等の充実を要望しており,その中で引き続き国に要望してまいります。
次に,生活保護の見直しについて,3点お答えをいたします。
まず,生活扶助基準額の引き下げによる具体的な影響額についてです。
このたびの基準額の引き下げの影響については,70歳の単身高齢世帯では,生活扶助基準額は,各種加算及び家賃を除きまして,月額7万2600円から7万1540円と1,060円の減額,それから,12月の期末一時扶助は1万3540円から1万2890円と650円の減額となります。
また,国が標準的世帯としている,夫33歳,妻29歳,子供4歳の3人世帯では,生活扶助基準額は,月額15万2970円から14万7990円と4,980円の減額となり,期末一時扶助は4万620円から2万1660円と1万8960円の減額となります。
それから,次に,生活扶助基準額の引き下げについて,国による具体的内容の通知がおくれたことに伴う生活保護受給世帯の周知,あるいは電算システムの改修に関する対応についてです。
生活扶助基準額の見直し内容の周知については,6月下旬から順次送付する8月分生活保護費の決定通知書にお知らせ文を添付し,減額の理由や見直しの内容などを丁寧に説明することにしています。
また,電算システムについては,国から具体的な内容変更が示された5月20日以降,急ぎ改修の準備に入りましたが,8月からの基準変更には間に合わず,当分の間,減額となる額を世帯ごとに算出し,それを福祉情報システムに1件ずつ手入力していくことになります。このため,職員の負担が一時的に増加しますが,各区のケースワーカーの負担が少しでも軽減できるよう,世帯ごとの減額金額を健康福祉企画課でまとめて算出することや,減額早見表を作成し,区に配付するなどの工夫をしていきたいと考えています。また,算定額誤りが生じないよう,どのようなチェック体制とするかについても現在検討しているところです。
それから,生活保護の申請書類の添付や扶養義務者の報告,こういったことに伴って福祉事務所の水際作戦が行われるのではないかと危惧するというお尋ねがございました。
生活保護の申請書類に関する法改正については,議員が危惧されているような事態が起こるのではないかとの指摘もあり,現在,国会において,ただし書き規定,具体的には,「ただし,当該書類を添付することができない特別の事情があるときは,この限りでない。」との条文を追加した修正案が審議をされているところです。
また,扶養義務者については,現在でも福祉事務所が必要と認めるときは扶養照会を行っていますが,今回の法改正により,明らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行しない場合などに限定して,扶養を行えない事情などの報告を求めることができるとされています。
本市としては,この法改正の趣旨を踏まえるとともに,真に生活に困窮する市民が保護を受けられないということがないよう適切に対応してまいります。
それから,最後に,ひろしま菓子博の成果と課題のうち,今後のイベント開催に向けて,市内部で障害に対する理解を深める必要があるのではないか,また,障害者団体等と意見交換を行いながら,市のユニバーサルデザイン・イベントマニュアルを作成してはどうかとのお尋ねです。
イベントについては,障害のある人もない人も同様に楽しんでいただけるよう十分配慮する必要があると考えており,本市がかかわるイベントについても,それをより徹底するため,本年6月14日付で障害者基本法等の趣旨を改めて認識し,障害者に配慮した会場設営,運営を行うよう全庁に通知したところです。
また,ユニバーサルデザイン・イベントマニュアルについては,既に広島県が作成していますので,本市としては,マニュアルについてはこれを活用することとし,さらに,広島県の障害福祉部局と連携して,イベント等における配慮事項について障害者団体から意見聴取を行い,その結果を取りまとめ,全庁に周知したいと考えております。
以上でございます。
○木山徳和 副議長
経済観光局長。
◎谷本睦志
経済観光局長 菓子博の開催による経済的な波及効果,また,会場周辺の施設への影響はどうかという御質問がございました。
ひろしま菓子博2013では,菓子博として初めて実施された再入場システムを利用し,12万7000人が再入場いたしました。さらに,会場マップや案内板に,周辺の施設を表示するとともに,観光ガイドマップや割引つきのグルメガイドマップを配布することなどにより,再入場システムとも連動させて回遊性の向上が図られました。また,観光・文化施設や宿泊施設,商業施設,飲食店などで,入場券の提示により割引等が受けられる特典が設けられました。
こうした取り組みの効果もあって,特に会場周辺に一層のにぎわいが生まれ,商業施設では,紙屋町地下街シャレオが,前年同期に比べて,全体の売り上げが約25%,中でも,飲食関係は約120%増加しました。このほか,そごう広島店や広島センター街などの売り上げも軒並み増加したと聞いております。
宿泊施設では,市内の主なホテルの稼働率は平均で約10%増加しており,交通機関では,アストラムラインの本通駅及び県庁前駅の乗降者数が約6%増加し,路面電車や路線バス,高速バス,タクシーの利用者も増加したとのことです。
原爆ドームと宮島を結ぶ世界遺産航路の利用者は約20%,広島港−松山観光港間の利用者も約6%増加しております。
また,周辺の公共施設でも,平和記念資料館の入館者数は約3%増加し,国立広島原爆死没者追悼平和祈念館は約17%,広島城は約9%,こども文化科学館は約175%,こども図書館は約23%それぞれ増加いたしました。
以上,把握できているものをお答えしましたが,このように,本博覧会の開催は,地域経済の活性化などに大きく寄与したものと考えており,全体的な経済波及効果につきましては,現在,実行委員会において検証が進められております。
次に,電動車椅子の対応,また,こういった教訓をどう引き継いでいくのかという御質問がございました。
実行委員会は,施設整備や運営に当たって,雑踏事故を未然に防止し,全ての来場者が博覧会を安全で安心して見ることができる環境を整えることが,主催者としての責務であるという基本的方針を立てておりました。この方針のもと,電動車椅子で来場される方に関しては,前回の姫路博覧会における運用を参考に,開幕当初は手動式車椅子への乗りかえをお願いしておりました。この運用に関し,障害者団体から,電動車椅子利用者への制限を撤回するよう申し入れがありました。これを受け,電動車椅子を利用して生活されている方々の実情を深く理解しておらず,配慮が足らなかったことを謝罪し,電動車椅子のままで入場していただけるよう改めました。
実行委員会では,今回のことを教訓とし,今後取りまとめる事業報告の中に,高齢者や障害者など,全ての人がより一層楽しむことができる菓子博にするために,障害者団体などと事前に十分なコミュニケーションを図る必要がある,このことを明記するとともに,次回,菓子博の主催者にしっかり引き継ぐようにしております。
以上でございます。
○木山徳和 副議長 市民局長。
◎及川享 市民局長 旧市民球場跡地活用とサッカースタジアムについての御質問のうち,サッカースタジアム検討協議会について,私のほうからお答えいたします。
サッカースタジアムの整備については,スタジアムの規模,建設場所,管理運営方法,事業スキーム,事業収支,類似施設とのすみ分けなど,解決しなければならない多くの課題がございます。
サッカースタジアム検討協議会では,こうした諸課題について自由闊達に議論していただき,広島に求められるサッカースタジアムについては,どういった規模で,どういった機能を付加して,どの場所に整備をすれば広島全体の活性化につながるのか,また,建設や管理運営などにはどのような手法を用いることが適切か,さらに,議員御指摘のように,既存のエディオンスタジアム広島をどのように取り扱っていくのかなど,その解決策を取りまとめていただくことになっております。
次に,広島県サッカー協会,広島県,広島市及び広島商工会議所の4者は,協議会で解決策が取りまとめられた後に,その取り扱いについて協議していくことになると考えますが,具体化する場合には,必要となるさまざまな対応策については,適宜,しっかりと協議していきたいと考えております。
以上でございます。
○木山徳和 副議長
都市整備局長。
◎西岡誠治
都市整備局長 私からは,旧市民球場跡地の活用について,2点お答えいたします。
まず,比較検討がされて,建設されるまでどのぐらいの期間を考えているのかという点でございます。
一般的に,施設を整備する場合,設計で2年から3年,それに続く整備で,さらに2年から3年程度を要するのが普通ですが,施設の性格や規模にもよりますので,正確なところは現時点ではお示しすることはできません。
次に,旧市民球場跡地について暫定的な利用を考えるべきだと思うが,どうかという点についてでございます。
旧市民球場跡地について,ひろしま菓子博2013の開催によりまして,イベント会場としての大きなポテンシャルを有していることが実証されました。菓子博の会場施設も今月末までには撤去され,整地が行われる予定であり,その後は,消防士の救助技術を競う中国地方大会及び全国大会が,それぞれ7月と8月に開催されます。また,民間企業等から,イベント会場として使用したいとの具体的な申し入れも寄せられております。
今後,旧市民球場跡地が都心のにぎわいの場として,より活用されることを目指して,本格的な施設整備までの暫定的な利用についても積極的に取り組んでいきたいと考えております。
以上です。
○木山徳和 副議長 教育長。
◎尾形完治 教育長 教員が子供と向き合う時間の拡充について,2点の御質問にお答えを申し上げます。
まず,学校経営改善委員会の取り組みについてでございます。
教育委員会では,学校経営の活性化と学校の事務改善の推進を図ることを目的として,関係部課長及び園長・校長等を構成員とする学校経営改善委員会を設置し,校内組織の見直しや,ICT活用による業務のより一層の効率化などについて検討を行い,本年6月,学校経営活性化に向けた取組計画を策定いたしました。
この計画では,昨年度,学校規模に応じて実施した小学校3校,中学校2校の実態調査の結果を踏まえて,平日の過密状況の解消が最優先課題であるとし,過密期間・日程の緩和,業務の平準化・簡素化,ICTの活用と標準化の3点について,重点的に取り組むこととしております。
具体的には,学校規模等を考慮してモデル校を数校指定し,夏季休業期間の短縮など,長期休業のあり方や校務の見直し,事務負担の平準化に向けた実践研究を進めます。また,各学校における校務支援システムの操作方法の習得に係る支援の充実に努めます。
今後,これらの重点的な取り組みを着実に実施し,教員が子供と向き合う時間の確保に努めていきたいと考えております。
次に,2学期制の充実についてでございます。
まず,導入の成果と課題についてでございます。
教育委員会では,2学期制の取り組みの成果・課題等を整理し,教育課程の一層の充実を図るため,平成24年8月に,校長及び教務主任により構成いたします教育課程の在り方検討委員会を設置し,検討を行いました。
その結果,主な成果として,例えば,児童生徒が長期休業の目的を持って有意義に過ごすことができるよう,長期休業の過ごし方や学習の仕方について事前指導を充実させるとともに,長期休業中に補充学習を実施するなど,児童生徒への学習支援の充実が図られております。また,始業式や終業式,定期テストの回数が減少したことなどから,長期休業直前まで授業や校内研修を行うことができるようになりました。
次に,主な課題といたしましては,学校行事の計画において,地域の行事や部活動の試合等との調整に苦慮している状況が見られることや,特に中学校においては,長期休業前の中間評価のあり方など,評価の工夫が必要であると考えております。